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神崎 訓枝; 迫田 晃弘; 片岡 隆浩*; 石田 毅; 田中 裕史; 山岡 聖典*
no journal, ,
本研究の目的は、品質工学として知られるタグチメソッドを用いた被ばくによる健康損失を評価するための新規放射線リスク評価法の提案である。本研究では、放射線リスクを健康損失と定義し、放射線の有害効果と有益効果の両方を定式化するためにタグチの損失関数を用いてリポ多糖(LPS)誘導炎症モデルマウスの放射線影響を評価した。LPSを25ug投与した場合の死亡率は0%、LPSを100ug投与した場合の死亡率は46%であった。このとき、LPSを投与されたマウスのCRPは有意に増加していた。次に、マウスをX線(0.1, 0.5, 3.0Gy)照射で被ばくさせた4時間後のCRPを分析したが、これらの被ばくのみではCRPは変化しなかった。LPS(100ug)投与とX線(0.1Gy)照射の両方を処置されたマウスのCRPは、LPS(100ug)投与マウスのCRPよりも減少していた。しかし、それ以外の条件では、LPS投与とX線照射の両方を処置されたマウスのCRPは、LPS投与マウスのCRPよりも増加していた。これらの結果をまとめ、マウスへの処置の条件を制御因子とし望小特性SN比を求めると、0.1Gy照射された群でSN比が最大になり、低線量放射線はLPS誘導炎症を抑制することが示唆された。
島田 幹男*; 塚田 海馬*; 三宅 智子*; 神崎 訓枝; 柳原 啓見*; 松本 義久*
no journal, ,
人工多能性幹細胞(iPS細胞)は血液や皮膚線維芽細胞などに転写因子を遺伝子導入することにより初期化され、樹立することができる。iPS細胞は全臓器に分化する分化全能性を持ち、再生医療への応用が期待されている。しかしながら、初期化因子にDNA損傷を誘発する可能性があるために、iPS細胞のがんリスクについての報告がある。そのため染色体異常や腫瘍形成の予防には、iPS細胞のDNA損傷応答を解析することが重要である。そこで、本研究では、iPS細胞のゲノム安定性維持の分子メカニズムを明らかにすることを試みた。次世代シーケンサーによるRNAシーケンス解析の結果、DNA修復や細胞周期のチェックポイントやアポトーシスのようなゲノム維持遺伝子の発現が増加した。興味深いことに、神経幹細胞への分化後、これらの遺伝子の発現レベルは減少した。さらに、コロニー形成アッセイでは、iPS細胞での電離放射線被ばくへの高感受性とアポトーシスの活性化が示された。これらの結果は、DNA修復に代わって、アポトーシスの活性化が正確なゲノムDNAを持つ細胞集団を維持することを示唆している。このような分子的洞察は、iPS細胞の安全な医療応用において重要であると考えられる。